映画「ユニコーン・ウォーズ」ネタバレ感想~かわいい見た目に騙されるな!
映画「ユニコーン・ウォーズ」
ユニコーン・ウォーズ観てきました!
かわいい見た目のクマちゃんたちが凶悪なユニコーンと戦うスペインのアニメです。
予告を見た段階では、出オチというかアイディア一本の作品なのかなーっと思っていたのですが、そうではなく実家理と中身のある戦争映画になっていていい意味で裏切られました。
それでは感想をつらつらと書いていきます~
映画情報
題名:「ユニコーンウォーズ」
監督:アルベルト・バスケツ
翻訳:堀江真理
公開:2024年5月24日
上映時間:92分
制作国:スペイン・フランス
Story
物語の舞台は、とあるディストピア。
魔法の森に住む <テディベア> と <ユニコーン> の間には、先祖代々に渡って戦いが繰り広げられていました。テディベアのアスリンは双子の兄ゴルディと軍の新兵訓練所で屈辱的な特訓の日々を過ごしていたのですが、ある日、森から帰ってこない熊の部隊を捜すため、捜索部隊に参加したゴルディとアスリンはその森で危険な生物や無残な姿となった隊員たちを目にすることに。
彼らの聖書にある「最後のユニコーンの血を飲む者は、美しく永遠の存在になる」という言葉を信じて、ゴルディたちは、ユニコーンの生息する深い森へと進軍してくのですが、その地で巻き起こる悲惨で残酷な出来事の行く末には、とんでもない結末が待ち受けているのでした……(公式HPより抜粋)
感想
かわいい見た目に騙されるな!
黒塗りのユニコーンたち
愛と宗教
ラストに生まれたもの
かわいいクマちゃんたちによる戦争アニメ
予告やポスターを見てわかる通りこの映画の主人公たちは、かわいい見た目のクマちゃんたちです。それも同じ見た目のクマちゃんたちではなく、色々な見た目のテディベアたちが出てきます。青やピンク、大きなカラダのベア、パンダや、双子のシロクマ兄弟など。それは多種多様で人間の人種のようです。
ここまで聞いた内容だとただのかわいい映画ですが、ユニコーン・ウォーズはそうではありません。グログロな戦争映画なのです。
映画は訓練キャンプで、兵士訓練を受ける主人公たちのシーンから始まります。
この訓練シーンは、スタンリー・キューブリック監督の「フルメタルジャケット」そのものです。事実、本作のアルベルト・バスケツ監督は「地獄の黙示録」×「バンビ」を目指したそうです。その狙いは実現できていると感じました。
姿の見えない敵
題名の通り、この映画でクマちゃんたちが戦うことになる敵はユニコーン達です。ユニコーンは凶悪な化け物であり、ズル賢い悪であるとクマの間では噂されており、その敵を倒すために日夜訓練に明け暮れているのです。
ベアたちや、他の生き物、自然などを考えると、おそらくユニコーン達もカラフルで色々な姿をしているはずです。しかし、このユニコーン達は映画には出てくるのですが、全員黒塗りの姿でよく分からないのもとして描かれています。これは、主人公であるアスリンから見た敵であるからでしょう。
初めからユニコーン達を自分たちとは違う敵として、分かり合えない存在として考えていることの表現であると思います。これは現実の戦争と同じではないでしょうか。きっとゴルディにはきれいな姿のユニコーンとして見えていたのでしょう。
画像引用:公式HP
愛と宗教
この映画の登場人物たちは、みな口々に愛という単語を使います。それはテディベアであることが理由かもしれませんが、本映画に置きく関わってくる宗教観が由来であると思います。実際の過去の戦争の多くは宗教由来です。宗教はすがることによって人生を助けてくれるものなのかもしれません。
しかし、それと同時にその狂信的な考えが戦争拡大に繋がってきたという事は事実なのです。バスケツ監督もコメントの中でそのように語っており、このアニメ映画でもその通りになっています。
画像引用:公式HP
ラストに生まれたもの
この映画のラストで、アスリン達はよく分からないものに飲み込まれ1つの生物に生まれ変わります。それは、この映画を見ている私たち人間です。憎しみと狂気を孕んだアスリンと、優しさと愛を持ったゴルディから人間が生まれてきたのです。
このラストは皮肉めいているものではありますが、まさしくその通りであると思わざるを得ません。
ここまで色々なことを書いてきましたが、この映画すごく楽しめました!
かわいい見た目に反して、とても重く大きなテーマとメッセージを含んだ本作は、様々なことが起きている現代にこそ見るべき名作です。アニメーションとしても、カラフルでLSD描写など見るドラック的な側面もありとても楽しい一本でした。
是非是非、劇場で楽しんでください!!
個人的な映画「ユニコーン・ウォーズ」の点数は、
星4.0
です!!