映画「ありふれた教室」ネタバレ感想~証明と主張

映画「ありふれた教室」

雑草

ありふれた教室観てきました!
学校での盗難事件を通して、現代における正しさとは何なのかを問うそんな映画でした。

アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートされた本作。
新宿武蔵野館で予告を見た段階で、面白そっとなりずっと公開を楽しみにしていました~

それでは感想をつらつらと書いていきます~

映画情報

題名:「ありふれた教室」

監督:イルケル・チャタク
脚本:ヨハネス・ドゥンカー, イルケル・チャタク
出演者:レオニー・ベネッシュ, レオナルト・シュテットニッシュ, エーファ・レーバウ, ミヒャエル・クラマー, ラファエル・シュタホビアク
公開:2024年5月17日
上映時間:99分
制作国:ドイツ

Story

仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を得ていく。
ある時、校内で盗難事件が相次ぎ、カーラの教え子が犯人として疑われる。
校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自に犯人捜しを開始。
ひそかに職員室の様子を撮影した映像に、ある人物が盗みを働く瞬間が収められていた。
しかし、盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は、やがて保護者の批判や生徒の反発、同僚教師との対立といった事態を招いてしまう。後戻りのできないカーラは、次第に孤立無援の窮地に追い込まれていく。(公式HPより抜粋)

感想

画面がくらいずっと落ち着かない
1と0.9999、主張と証明
何が正しいのか

先生って大変ですよね


先生って大変ですねっというのが第一印象でした笑。ハラハラする学校を舞台としたサスペンスであると同時に、先が気になるミステリーでした。
仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラの視点で物語は進みます。カーラの働いている学校では盗難事件が発生していました。事件解決のために、校長をはじめとした職員たちは強引な手段で調査を行うようになります。それに反発したカーラは、自身の財布をおとりに隠しカメラを設置します。そのカメラには、犯行の現場が抑えられていました。しかし、犯行の姿はしっかりと映っておらず、ブラウスの袖のみが映っていました。カーラは同じブラウスを着た人物を見つけるのですが、本当に犯人なのか分からないまま事態は大きくなっていきます。

落ち着かない演出

この映画見ていてずっと落ち着かないんです。サスペンス映画なんだからそりゃそうだろと思うかもしれませんが、ストーリーはもちろん見ている側をゾワゾワさせる演出がうまいんです。

具体的に言うと何かをしている時に別の何かが起きるという演出が多いんです。例えば、大事な電話をしている時に生徒から話しかけられたり、その生徒たちはトイレに行くと言っていたけど、よく考えたらタバコを吸っていた疑いのある生徒たちで一緒に行ったな、とか。本筋とは別でノイズになることが沢山仕込まれていてうまい演出だなと思いました。
また、基本的に天気は曇りか雨で、画面の絵からもこちら側を不安にさせてきます。

先生も人間

この映画を見て最初に感じたことは、先生って大変だなでした笑。先生って常に正解・正しいことを求められ続ける職業だと思うんです。文字通り、先を生きるものとして生徒のお手本になる必要がありますし、少し間違ったことをしたら保護者から鬼のように叩かれてしまいます。この映画はその大変なところが嫌というほど映されています。

ですが、先生だって人間なんです。しかし、それを唯一分かってくれるはずの同僚からは職員室で味方になってくれません。それどころか、どんな状況でも自分の中の正しい先生を貫こうとするカーラを白い目で見る始末です。ひどい。

”主張”と”証明”

この映画のメインテーマである正しさとは何なのかという事の答えは、冒頭の数学の授業で示されていると思います。1が0.9の循環所数と等しいかどうかという問題です。ここで強調されているのが”証明”と”主張”です。

数学を教えているカーラや数学が得意なオスカーは、”証明”が得意であることが示されています。しかし、それは数学という明確な答えのある問題に対してのみです。はっきりとした証拠のない本事件では、両者ともずっと自分の正しさを押し付け”主張”し合う事しかできませんでした。

正しさとは何

私は数学のような答えのあるもの以外、明確な正しさというものは存在しないと考えます。その時あるのは、自分の中の正しさのみであると思います。その場合、お互いに主張することしかできないと思います。

この映画でもカーラもオスカーも自分自身の中の正しさをラストシーンまで主張し続けていました。ですが、それでいいのです。正解なのです。だから、この映画は犯人が実際誰かという事は重要ではないのだと思います。

雑草

ここまで色々なことを書いてきましたが、この映画個人的にはすごく楽しめました!
おそらく低予算ながら、丁寧な演出のおかげでずっとハラハラ楽しむことができました。
また、尺も99分とちょうどいい長さで見やすかったです。
これは、ハリウッドリメイクとかされやすい映画じゃないかなと思います笑。
是非是非、劇場で楽しんでください!!

個人的な映画「ありふれた教室」の点数は、
星4

です!!

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