映画「あんのこと」ネタバレ感想~
映画「あんのこと」
映画「あんのこと」観てきました!
「SRサイタマノラッパー」シリーズや、「22年目の告白-私が殺人犯です-」で知られる入江悠監督最新作です。実話ベース本作、入江監督が新聞の小さな三面記事を基に映画を作り上げたそうです。
とことんまで救いのない映画で見ていてとても苦しかったですが、目の離せない傑作でした。
それでは感想をつらつらと書いていきます~
映画情報
題名:「あんのこと」
監督:入江悠
脚本:入江悠
出演者:河合優美、佐藤二郎、稲垣吾郎、河井青葉など
公開:2024年6月7日
上映時間:113分
制作国:日本
Story
21歳の主人公・杏は、幼い頃から母親に暴力を振るわれ、十代半ばから売春を強いられて、過酷な人生を送ってきた。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅という変わった刑事と出会う。
大人を信用したことのない杏だが、なんの見返りも求めず就職を支援し、ありのままを受け入れてくれる多々羅に、次第に心を開いていく。
週刊誌記者の桐野は、「多々羅が薬物更生者の自助グループを私物化し、参加者の女性に関係を強いている」というリークを得て、慎重に取材を進めていた。ちょうどその頃、新型コロナウイルスが出現。杏がやっと手にした居場所や人とのつながりは、あっという間に失われてしまう。行く手を閉ざされ、孤立して苦しむ杏。そんなある朝、身を寄せていたシェルターの隣人から思いがけない頼みごとをされる──。
(公式HPより抜粋)
感想
とことん救いのない物語
逆光を使った闇の演出が印象的
河合由美の存在感
人は何に絶望するのか
個人的に入江悠監督はとても好きな監督です。「SRサイタマノラッパー」シリーズはもちろんのこと、近年ではあまり話題になっていませんが、「シュシュシュの娘」は一見キャッチ―な設定やビジュアルながらもその根底にあるメッセージは極太であり大好きな一策です。
そんな入江悠監督最新作「あんのこと」。めちゃくちゃ期待して見に行って、その期待を裏切られない傑作でした。
それでは感想です~
とことん救いのない物語
あらすじと予告から分かるように本作はとてつもなく重く救いのないストーリーでした。
主人公のあんは、物語冒頭文字通りの最底辺からスタートします。
そこから、多々羅さんの助けと自身の努力から這い上がろうとする姿が本作では描かれています。
ですが、自分のが悪くない他人由来(主に母)のせいで何度も地獄へ引き戻されてしまうのです。
アリジゴクのように。
そこが見ていてとてもつらいながらも、入江監督の手腕で一秒も目の離せない一作に昇華されています。
どこまでが実話でどこからがフィクションなのかすごく気になりました。
画像引用:公式HP
逆光を使った巧みな演出
本作で印象的だった演出は逆光を使った闇の見せ方です。
映画の色からして暗闇を見せるのは当然と言ったら当然なのですが、普通の暗闇ではなく逆光、つまり光で生まれる暗闇というのが凄くうまいな~と思いました。
特に、終盤の包丁を持ち出してきたシーンは逆光でほとんど顔が見えない凄まじいシーンでした。
光があるから闇が深まるとはよく言ったもので、本作のラストときっちりとリンクしていて素晴らしい演出でした。
画像引用:公式HP
河合由美さんの存在感
この映画は題名の通り、基本的に河合由美さん演じるあん視点で進んでいきます。
それだけに河合由美さんの演技や存在感が重要になってきます。
その点で河合由美さんのあんは満点、映画として優勝みたいなところがありました。
最近放送されていたクドカンのドラマ「不適切にもほどがある」でも感じたのですが、河合さんは不安定な危うさが魅力の女優さんだなと思っています。本作でも、その成分がうまく発揮されていました。
年齢と役どころがハマっているなという印象なので、彼女の今後がどんな女優になるのか楽しみです。
画像引用:公式HP
人はなにに絶望するのか
本作のラストは、命を自ら断つことになるあんですが、その理由がとても切なくやるせないモノでした。
自分が積み上げてきたもの希望のせいで、それが失われた時の絶望がより深くなってしまい。
その闇に取り殺されてしまいました。
それは、前述した逆光による闇そのもであり、その点でも本作がとてつもない完成度を誇っていることがうかがえました。
画像引用:公式HP
ここまで色々なことを書いてきましたが、この映画個人的にはすごく楽しめました!
救いのない地獄を描いた本作ですが、ただ辛いだけではなく目をそらすことの出来ない
巧みな演出の光る今年を代表する邦画になるはずです。
できるだけ精神が安定している時に見てください( ´∀` )
是非是非、劇場で楽しんでください!!
個人的な映画「あんのこと」の点数は、
星4.5
です!!